応用統計学
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漸増法による用量設定試験における累積反応率の諸問題
上坂 浩之
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1992 年 21 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

医薬の臨床開発において,臨床用量を決定するための臨床試験で従来用いられている用量漸増法と,そのデータより推定される用量別累積有効率あるいは最終用量累積有効率の問題点を明らかにした.これらに替わる累積反応率を,各用量を同一期間投与する逐次増量方式において最初に反応を示した用量の累積分布として定義した.この定義では反応の非可逆性を仮定しない.この累積反応率の推定法を示し,その性質をシミュレーションにより検討した.この累積反応率は個体内変動が大きいとき,反応率を相当過大に推定するため,反応変数の個体内分散を小さくするような試験デザインが必要である.以上の結果に基づき,最後に用量漸増法における用量反応関係の推測の問題に若干の考察を加えた.

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