抄録
生産関数は経済学上様々な意味で重要な位置づけにあり,その統計的推測は実証分析上極めて重要な問題である.多くの理論研究・実証研究では,コブ・ダグラス型とトランスログ型と呼ばれる,比較的単純で数学的な取り扱いの簡便なモデルが生産関数として仮定される.しかし,回帰関数型の定式化に誤りがあった場合,パラメータに関する統計的推測の結果は必ずしも信頼できるとは限らず,導出されたインプリケーションは誤ったものである危険性がある.本稿ではまずノンパラメトリック検定によって,コブ・ダグラス型,トランスログ型という既存のパラメトリックモデルが生産関数として適切か否かを検証する.次に,回帰関数に関する仮定を排除したノンパラメトリック推定を,B-スプライン関数を基底関数に取った一般化加法モデルによって行う.その際,推定量の安定性を確保するために罰則付き最尤法による推定を行い,平滑化パラメータ,基底関数の個数の選択については一般化情報量規準GICの枠組みに基づいて選択規準を与える.応用例として,ノンパラメトリック推定した生産関数を基に,生産要素に関する効率性を定義した上で企業の倒産分析を行う。