抄録
【目的】真空調理は、下処理した食材を調味液などと一緒に専用の袋に入れ、真空包装し加熱をして提供する、新調理システムの一つである。真空調理の利点としては、計画生産の実現、交差汚染の防止、調味料の少量化、調理操作のマニュアル化による品質のバラツキ防止などがある。特定給食施設等の食事サービスでは、特に作業効率やHACCPなどの衛生管理の面からその多くが新調理システムを導入している。真空調理は真空包装後、数日間の冷蔵保存を経て再加熱し提供されている。その保存期間は1週間程度と明確な基準はなく、各施設で異なっているのが現状である。そこで、安全に提供できる保存期間を明らかにすることを目的に真空調理における保存性を経日的に検討した。
【方法】大量調理で使用頻度の高い大根を試料とした。前報(工程1~3)に続き、工程4として水洗浄後真空包装し加熱処理したものについて、通常包装、常温保存をコントロールに比較検討した。保存性は、汚染指標細菌(一般生菌、大腸菌群)、pH、水分活性を指標とし、細菌数は食品衛生検査指針に準じ、乾式培地(ペトリフィルム)にて測定した。
【結果】本工程では、真空包装し密閉された状態で加熱を行ったので二次汚染が起こらず、細菌増殖が抑制された。また、前報の処理工程と比較しても、最大でも一般生菌103cfu/ml、大腸菌群101cfu/mlと細菌数が抑えられていた。真空包装後に加熱をすることで保存期間の延伸が可能であると考えられる。特に大腸菌群については増殖数が目立って少なかった。水分活性は、どの条件においても0.98以上であったことから水分活性が一般生菌と大腸菌群の増殖に与える影響はないと考えられる。