本論文では,日常行動を現実世界で(聴覚的)観察するための生態学的評価ツールであるElectronically Activated Recorder(EAR)1)をレビューする。EAR は技術的には,参加者が生活しているあいだの周囲の音の断片を録音す るオーディオ記録装置である。概念的には自然観察法であり,その人の一日に展開される聴覚的な日誌を提供する。 EAR の強みは,実際の現実生活の観察データを目立つことなく収集することにある。データ取得のレベルで高度 の自然性を保つことは,エスノグラフィックな手法に似ていて,質的研究のアプローチに適している。また,サ ンプリングと定量的な行動コーディングを通して,実証的な研究も可能である。この論文では,EAR の方法の概 説と日常生活における心理現象を直接研究するという面でのその妥当性と有用性のレビューを提供する。