抄録
本研究の目的は,小学校の教育実習指導を通した実習指導教員の学びと実習指導のあり方との関連について,実習指導教員への実習期間中の面接調査から明らかにすることである。面接調査は,4 週間にわたる実習指導期間の前後および,期間中の毎週末に非構造化面接により行われた。2 名の小学校教員の語りに対し質的コーディングを用い,実習指導教員,実習生,子どもの三者の関係に着目し,実習指導の時間的経過に伴う実習指導教員の学びについて分析した。数量的分析と質的解釈の結果から,第一に,実習指導が自身の指導への省察となっていること,第二に,実習指導が時系列的変化を伴いながら,実習生との協働的な関係や,子どもとの連携的な関係で行われ,そのことが実習指導教員の学びを促すことなどが明らかになり,実習指導教員が偶然を生かしつつ,自身の学びにもつながるような実習指導を行っていることが示唆された。今後の課題として,学校全体の組織体制の検討が挙げられた。