第四紀研究
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論説
中部更新統古琵琶湖層群上部と上総層群上部の火山灰層の対比
里口 保文服部 昇
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2008 年 47 巻 1 号 p. 15-27

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抄録

琵琶湖西方の堅田丘陵に分布する堅田累層は古琵琶湖層群上部に位置し,鍵層となるいくつかの火山灰層を挟む.そのうち上仰木I火山灰層は,房総半島の上総層群上部のKs11火山灰層とも対比されており,中部更新統の広域火山灰としても重要である.この上仰木I火山灰層の上位には,これまで未記載であった伊香立I,II,山下火山灰層がある.本論ではこれらを含め,上仰木I火山灰層の上位にある火山灰層の記載を行い,その記載岩石学的性質と火山ガラスの化学成分,層位から上総層群の火山灰層との対比を検討した.その結果,古琵琶湖層群の上仰木II,伊香立II火山灰層は,上総層群のKs10,Ks5火山灰層とそれぞれ対比された.さらに,堅田地域最上部にある山下火山灰層は,その性質およびコナラ属アカガシ亜属花粉化石の多産層準より上位にあるということから,大阪湾で掘削された東灘1,700mボーリングコア中のK1-175火山灰層と対比された.それらの火山灰層の年代から,堅田丘陵は少なくとも350 kaまでは堆積域にあったことが示された.

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© 2008 日本第四紀学会
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