第四紀研究
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北部九州における縄文海進以降の海岸線と地盤変動傾向
下山 正一
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1994 年 33 巻 5 号 p. 351-360

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抄録

海成層の最大分布に基づき, 北部九州各地の縄文海進ピーク時期の海域と海岸線が明らかになった. 縄文時代以降の海岸線は前進傾向にあるので, 海成層の分布限界, 弥生時代の遺跡分布, 江戸時代初期の国絵図の3つの情報が十分得られれば, 佐賀・筑後両平野の例に示すように, 縄文前期の海岸線, 弥生時代末の海岸線, 江戸時代初期の海岸線をそれぞれ描くことができる.
北部九州のうち, 玄界灘・響灘沿岸地域の海成層上限高度は一様ではなく, +0.4から+4.5mまでの値が見積られる. 有明海沿岸の佐賀平野と筑後平野の縄文海進ピーク時期の海成層の上限高度差は-1.9mと+4.8mで, 隣接地域としては最も大きい. これらの上限高度の差は過去5~6,000年間に生じた垂直変動量とみなせる.
北部九州各地の下末吉海進ピーク時期の海成層が現海面下にのみ存在することから, 北部九州は全体に緩やかな沈降地域と考えられる.

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