第四紀研究
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対馬海流の脈動と北海道における完新世の温暖貝化石群集の変遷
紀藤 典夫野田 隆史南 俊隆
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1998 年 37 巻 1 号 p. 25-32

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抄録

函館から発見されたシオフキ・ハマグリ・イボキサゴなどからなる暖流系貝化石群集の14C年代値は約2,400~2,300年前で,従来知られていた縄文海進期の年代よりも新しかった.新たに年代測定された群集を含めると,北海道南部における温暖種の産出年代は7,500年前,4,000年前,および2,400~2,300年前の3つの時期がある.この温暖種の産出年代は,対馬海流の強勢期によく一致する.温暖貝化石群集は,対馬海流の脈動に対応して分布を北海道まで拡げたが,このような事件は完新世に3回生じた可能性がある.

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