第四紀研究
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XRF分析との比較によるテフラガラス片のEDS分析結果の評価と補正
長橋 良隆吉田 武義中井 聡子奥平 敬元
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2003 年 42 巻 4 号 p. 265-277

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抄録

デイサイトから流紋岩組成のテフラ(B-Og,Aso-1,Km4,Oga,ATの各テフラと池月凝灰岩)について,火山ガラスの主要成分化学組成を蛍光X線(XRF)分析およびエネルギー分散型X線マイクロアナライザー(EDS)分析により求めた.各分析成分について濃度低下に伴う測定精度(再現性)の低下を図示することによって,EDS分析値の測定誤差を評価した.また,XRF分析値とEDS分析値との比較を行い,両手法間の系統的な差とEDS分析値の正確度を評価した.今回行ったXRF分析の結果は,すでに公表されている同一テフラのEPMA分析結果とおおむね一致している.そこで本論では,XRF分析値を基準としてEDS分析値を補正する方法を提案し,その結果について評価した.補正したEDS分析値は,生のEDS分析値を補正係数(各成分ごとに,XRF分析値に対するEDS分析値の散布図を作成し,それに最小二乗法による回帰直線を引いたときの一次関数の係数)を用いて得た.補正後のEDS分析結果はXRF分析結果とよく一致しており,これはXRF分析値とEDS分析値とが高い相関性をもつためである.また,補正後のEDS分析結果は,同じ方法を用いて補正した他機関のEDS分析結果と比較すると,EDSシステムの分析装置および分析条件が異なるにもかかわらずよく一致している.これらのことから,われわれが提案するEDS分析値の補正方法は,テフラの同定や対比に広く利用できるものである.

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