2017 年 13 巻 1 号 p. 49-68
本稿では,教養教育段階におけるテストに関する授業開発と実践を行い,その効果測定を行った。テスト学の講義として,これまでの生徒としての「受け手」の受動的態度から,科学的研究対象としての意識(能動的態度) への変化を促すことを狙い,テストを単一の学問ではなく,哲学・歴史学・法律学・社会学・心理学・数学・統計学といった大学諸学問の観点から分析して,十分に興味関心を喚起した上で,テスト評価技術である,テスト理論の知識を教授するという授業設計を行った。信頼性や妥当性などのテスト理論の考え方に触れ,様々な分析・設計の観点を知り,それを実際にレポートで自ら体験することで,テストの限界と効用の相克などを体感し,「テスト」が,一筋縄で結論を出すことが難しい,追及に値する学問・研究対象だと認識するときにはじめて,「テスト」に関する印象が向上するなどの「テスト学」教育の効果が現れるといった,「テスト学教育」の認知構造が確認できた。