本発表は、ウガンダの難民居住地を含むローカルな地域社会において、南スーダンからの難民や、ウガンダの国内移民がどのように難民居住地と「ホスト社会」との境界を越えて、社会経済的な関係をつないでいるかを考察する。いくつかの南スーダン難民の家族世帯の移動史や生計実践をとりあげながら、彼らが、他の難民やウガンダ人と新たな関係をどのように創出しながら、彼らが置かれた強制立退きという現在の情況に応答しようとしているかをミクロなレベルから明らかにする。移動する人々それぞれが、紛争に伴う偶発的で不安定な社会状況の下、自らの生存と生活の安定を求めて、さまざまな戦略を用いて暮らすことで、難民と「ホスト社会」を分ける境界は曖昧にされ、新たな関係性が生みだされている。