抄録
就労支援プロセスに職業相談・カウンセリングの要素を取り入れることは大変有用である. この職業相談は,単に話をよく聞くということではない.就労支援において職業相談は,ケースの機能面の調整,カウンセリング,環境対処する方法の相談,ケースマネージメント,支援の改善につなげるための批評の5つ役割を果たす.これらのような役割を機能させることを通じて,職業相談では支援対象者の自己理解を促すことが重要である.自己理解の支援とは,自己,仕事,教育機 会に関して,職業に関連する情報として探索,統合することができるようにすることである.就労支援における具体的な手続きとしては,ナビゲーションブックの支援技法を参考にすることができ る.このような就労支援において職業相談の視点を持つことは,支援対象者である知的障害者の主体性の尊重や自己決定等に配慮した支援を可能にすると考えられる.