抄録
幼児期後半に事物を動かす活動が限局していた手のリーチ動作が可能な重症心身障害児 (以下,重症児)を対象に,事物操作の学習を目的とした作業療法を10年間継続して実施した.本研究では,10年間で計25回のリハビリテーション入院で作成された情報提供書を対象とし,作業療法の取組み内容や重症児の行動変容について後方視的に分析した.その結果,事物操作の学習では,手の探索行動を活性化することに着目した指導が有用であると考えられた.また,事物に対する一連の行動における手の随意運動に着目することは,重症児の意思を推測する視点の1つになる可能性が示唆された.そして,さまざまな事物を動かす活動を継続的に経験できる機会が保障されたうえで,重症児が能動的に取り組むことができる活動をみいだすことは,事物操作の学習における長期的な支援方略の1つであると考えられた.