抄録
地域療育センター(以下,療育C)は,そこで生活する子どもの10%に到達しうる発達障害支援ニーズの増大・多様化に対して,医療と福祉がそれぞれの立場を堅持しつつ,協同してサービスを展開していくという大きな有利性がある.加えて,学齢期以降を見すえた継続的な地域ケアを体現するためには,療育Cと教育との地域連携システムを構築することは必須である.横浜市では療育Cと通級指導教室の連携が脈々と展開されてきた.2019年に行われた横浜市の全通級と全療育C等の各職員約200名に対し行った,互いに対する連携の意識調査では,「療育Cとの連携がとれている」と感じる通級教師が,10年前の38%から82%へと増加する等,連携の意識が一定の水準に達していた.今後は,子どもの学校生活を起点として,そこにいかにして発達障害医療や通級の専門性を生かしていくかという,学校(生活)─通級(特別支援教育)─療育(医療, 福祉)のトライアングルの連携を構築していく必要性が確認された.