抄録
わが国の人口全体の高齢化に伴って,知的障害者人口も急速に高齢化している.すでに障害者福祉の現場は,知的障害者の高齢化による支援ニーズの変化と,認知症による諸問題に直面している.適切な支援や対策が提供されるために,知的障害者における認知症の実態が明らかにされ る必要がある.なお,知的障害者の認知症は,元々併存している多様な障害のため,一般高齢者と同じ方法でスクリーニングすることができない.そのため,認知症を疑われながら,十分な評価を受けていない知的障害者が数多く存在する.知的障害者への使用を前提とした認知症スクリーニング方法の確立が必要である.2017 年から岡山大学と社会福祉法人旭川荘は,知的障害者における認知症の包括的研究に取り組んできた.これまでに実施した,知的障害者における認知症有病率調査と,認知症スクリーニング方法「DSQIID」の有用性を検証した研究について紹介する.