抄録
近年,発達障害と性をめぐる研究や臨床的な知見に注目が集まってきている.そこで本稿では,自閉スペクトラム(AS)のある女の子と女性に焦点を当てて,ジェンダーやセックスに関する知見を概観することを目的とする.
まず,AS のある男女の診断と臨床像の性差に関する研究知見を概観する.続いて,特に思春期を中心に,AS のある女の子に特有の経験を取り上げる.さらに,AS のある女性の経験を理解するうえで重要だと考えられる,AS と性の多様性(gender diversity)の関連についての知見を紹介する.AS を含めた発達障害の理解と支援においては,女性と男性でそれぞれ生物,心理,社会的要因の性差を考慮する必要がある.また支援においては,支援者自身が,性や適応に関する価値観に自 覚的であることが求められる.そのため,日々の生活における当事者の内的経験を尊重し,そこから学んでいくことが重要である.