抄録
本研究では,まず発達障害のある小学生・中学生が通う情緒通級の教師を対象に,言語障害や難聴等のある小学生が通う言語通級の教師を比較対象として,各通級での指導の優先順位を調べるため,「自立活動」が定める 6 つの区分を用いた調査を行った.次に,各通級に通う小学生群・ 中学生群の適応行動について教師による評価を行った.その結果,指導の優先順位は両通級とも共通して「心理的な安定」「人間関係の形成」「コミュニケーション」が高く,「健康の保持」「環境の把握」「身体の動き」は低いという結果であった.一方,適応行動の評価は,情緒通級に通う小学 生高学年および中学生は社会性やコミュニケーション領域と同等に日常生活スキル領域にも課題があると教師が見立てていることが明らかとなり,日常生活スキル領域に相当する「健康の保持」の指導の必要性が確認された.本結果は,今後の指導のあり方を検討する基礎資料になると考えられ る.