緊急時対応では、複数組織を統括するメタ意思決定層、すなわち、平常時の複数の決定組織をまとめるためのさらに上位の意思決定層が必要になるが、このメタ層で適切な決定を下すには十分な情報が前提となる。しかし、初動時には情報が得られないことも多く、メタ層を調整役として重視する立場に立てば、各対応組織が自ずから救助支援の必要性を判断することが重要になる。そこで、自主的な救援の要不要の判断を決定するための新たな二つの方策を提案、誤った判断を最小限に抑えるための最適な方策選択の基準を、現状を含めて数理モデルで明確にする。後半では、広域災害発生直後の消防における応援要請システムに着目、現状の「要請依存型」の弱点を考慮し、自主派遣の具体的なプロセスとして「周辺情報依存型」と「発生源情報依存型」の二種類の応援要請プロセスを提案する。それらをペトリネット・シミュレーションにより比較評価し、情報コミュニケーションの状況に応じて、それらのプロセスを推移させる共存タイプの統合型応援要請システムが効果的であることを示す。