2016 年 72 巻 12 号 p. 749-760
本論文は中央定位するヴォーカル信号に伴奏信号が加わったステレオ楽曲信号から,ステレオ型カラオケ信号を生成する手法を提案する。提案手法は左右チャンネルのスペクトルの差を用いてヴォーカル信号の分散値を算出し,雑音抑圧手法を用いてステレオ型カラオケ信号を生成する。提案手法の特徴は,ヴォーカル信号の分散値を算出した後に左右のチャンネルに対して独立した状態空間モデルを構成することにより,(i) ステレオ型のカラオケ信号が生成でき,(ii) IFFTの回数が減少することによる演算量の軽減が可能である。本手法の有効性は,スマートフォンアプリケーションへの実装を通して明らかにされている。