気柱共鳴管に温度勾配をつけ内部の気体を平衡状態から遠ざけていくと,管内の気柱は不安定となり自発的に振動しだす。熱音響自励振動としてよく知られた現象である。本論文では温度勾配のある共鳴管にスピーカのような可動部を取り付けた場合,内部の気柱が自励発振するための温度勾配と周波数を実験的に予測する方法が示されている。従来用いられてきた共鳴管のQ値による手法の妥当性が検証され,共振周波数以外の周波数でもQ値は発振を意味する無限大や負の値をとり,しかもその温度勾配は発振周波数の閾値より小さい領域があることが分かった。実際に観測される発振条件は音響インピーダンスの整合によって決定されることが実験的に示されている。