学校メンタルヘルス
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高校野球部員を対象とした集団効力感の研究 : 集団凝集性及び部活動ストレッサーとの関連による検討
尼崎 光洋清水 安夫
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2009 年 11 巻 p. 23-31

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抄録
本研究の目的は,高校野球部員を対象とした集団効力感尺度を作成し,集団効力感に影響を与えると考えられる集団凝集性と部活動内で経験するストレッサーとの関連性を検討することである。調査対象者は,東京都内の高校野球部員224名であり,質問紙を用いた集合調査法にて実施した。調査内容は,Magyar et al.(2004)が作成した集団効力感を測定するCollective Efficacy Scaleを邦訳した高校野球部員版集団効力感尺度(Collective Efficacy Scale for Japanese High School Basebal Players:CES-JHSBP),集団凝集性測定尺度短縮版(芹澤・清水,2005a),高校運動部員用ストレッサー尺度短縮版(芹澤・清水,2005b)を用いた。尺度開発のために,探索的因子分析,検証的因子分析を実施した。また,抽出された各因子に対して,信頼性係数(Cronbach's α)を算出した。さらに,CES-JHSBPと各尺度の関連性を検討するために重回帰分析を行った。本研究の結果から,信頼性及び妥当性を兼ね備えたCES-JHSBP(3因子10項目)が開発された。また,集団凝集性を高めることで,集団効力感を高めることにつながることが示された。さらに,部活動内でのストレッサーを多く経験することが,集団効力感を高めることにつながる可能性が示された。一方で,部活動内での指導者に対するストレッサーは,集団効力感を低下させることにつながる可能性が示された。今後,顧問教師の指導力の質的向上を果たすための介入プログラム作りに向けて,集団効力感の観点から検討を重ねていくことが必要であると考える。
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© 2009 日本学校メンタルヘルス学会
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