現代監査
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課徴金納付事例における会計判断と監査判断
─株式会社ビックカメラの課徴金納付事例を取り上げて─
成田 礼子
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2015 年 2015 巻 25 号 p. 86-94

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抄録

株式会社ビックカメラは,平成21年2月に不動産流動化の会計処理を修正し,有価証券報告書の訂正報告書を提出し,平成21年7月,金融庁長官は,会社に対し,課徴金納付命令を決定し,会社は課徴金を納付した。

平成22年2月,会社の株主1名が,上記会計処理により,会社に損失を与えたとして株主代表訴訟を提起した。当該訴訟に会社は被告側へ補助参加し,当初の会計処理は適正であったと主張した。

平成25年12月,東京地方裁判所は会社の主張を認め,原告の請求を却下又は棄却した。その後,原告は控訴したが,平成26年4月に,東京高等裁判所は控訴をいずれも棄却した。

本事案は,当初の会社処理と監査判断,修正後の会社処理と監査判断が異なり,金融庁の判断と裁判所の判断が異なっているケースである。会計処理は会計事実,会計慣行をどのように判断するかにより異なるのである。

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© 2015 日本監査研究学会
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