現代監査
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監査規制研究の考察
実証研究からの知見
髙田 知実
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2020 年 2020 巻 30 号 p. 46-55

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抄録

本稿の目的は,監査規制を巡る議論に対し,実証研究の含意を提示することである。具体的には,アーカイバル・データを用いた実証研究を中心に,監査規制に関する先行研究を考察する。

本稿で議論するのは,大きく分けて次の2つのテーマに関する先行研究である。すなわち,(1)監査の経済合理性と,(2)監査規制の是非と帰結の分析である。これらの研究は,主に実施された年代も異なっており,前者についてはアーカイバル監査研究の黎明期である1980年代から長らく実施され,後者については2000年頃を皮切りに幅広く実施されるようになった。このような推移は,時代背景や研究環境に影響を受けていると考えられる。本稿では,まずそれぞれの研究テーマについて概括的にレビューをしたうえで,各研究テーマに関する先行研究がもつ性質を検討する。そして,アーカイバル実証研究の限界や特長を踏まえたうえで,最後に,監査規制を巡る議論に対する実証研究の貢献を議論する。

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© 2020 日本監査研究学会
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