バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
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頭部損傷基準値(HIC)の理論的分析
中野 正博松浦 弘幸玉川 雅章山中 真行正 徹Masami Kubota
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 12 巻 2 号 p. 57-63

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抄録

事故による頭部への衝撃の程度を表現するのに一般的に使われている頭部損傷基準値HICの意味とその本質を分析する.日本自動車研究所(JARI)においてダミーロボットを用いて実験した加速度のデータに基づいて分析を行う.まずHICの式の中にある冪の2.5乗がノイズを拾わず,主たるピークだけを取り上げるうまい仕掛けになっていることを示す.次に,ガウス関数による加速度のフィットが良い近似になることを示し,HICを解析的に積分し,HICがピーク値Aと標準偏差σの2個の変数の簡単な式で表せることを示す.求められた理論的HICは,実験と良く一致する.このことから,HICの意味を汲み取ることができ,HICを速度変化とピークの幅で表し,ピークの幅を大きくすることがHICを下げる事を示す.さらに,ヘルメットがピークの幅を大きくし,HICを危険領域から,安全領域まで下げることを示す.

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© 2010 Biomedical Fuzzy Systems Association
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