スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
ラグビーチームにおける心理的競技能力診断検査(DIPCA.3)を用いた実態調査
友定 啓仁 サトウ タツヤ笹塲 育子
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 16 巻 p. 286-296

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抄録

運動部活動のようにスポーツを扱う集団において,勝利を追求する姿勢は否定されるものではない.しかし,近年スポーツ界では,過剰な勝利至上主義によりバーンアウトなど多くの心理的な問題が生じている.本研究では,A 大学ラグビー部68 名を対象に,心理的な課題を明らかにすることを目的として,心理的競技能力診断検査(DIPCA.3)を実施し,強化方策を検討した.学年とスコッドを独立変数とする多変量分散分析の結果,学年とスコッドの多重比較検定で有意差がみられた.この結果を元に一変量分散分析を行った結果、自信において学年の主効果のみ有意差がみられた.多重比較の結果,1- 3 回生間に有意差がみられ,学年が上がるごとに得点は低下していた.また,下位尺度について探索的因子分析を行った結果,第1 因子は「決定力因子」,第2 因子は「精神力因子」と名付けられた.さらに,因子スコアを従属変数とした2 要因分散分析の結果,「決定力因子」においてスコッドの主効果で有意傾向がみられ,上位チームが高得点を示していた.強化方策として,自信の得点が低かった3 回生の半数以上が所属する下位チームにおいて,より多くの達成体験の獲得を目的とした試合数増加が有効であると考えられた.また,決定力因子の向上についても,試合を通して向上する可能性が示唆された.

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© 2024 日本スポーツパフォーマンス学会
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