バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
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変数置き換えモデルを用いた医療関連文書の可読性分析
赤木 信也納富 一宏斎藤 恵一
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2017 年 19 巻 1 号 p. 19-27

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抄録

本論文は,日本語文に対する可読性指標の新しい開発方法として変数置き換えモデルを提案し,提案指標を用いた医療関連文書に対する可読性分析の有効性を検証したものである.変数置き換えモデルとは,既存の英文の可読性指標の変数を同程度の値で日本語に対応付けることにより,英日両文に適応可能とする指標である.検証実験では,変数置き換えモデルの指標(i.e. jFRE, jFKG, jARI, jCLI, jSMOG)を用い,同じ医薬品名について,「医薬品添付文書」と「くすりのしおり®」の評価値を比較する.「くすりのしおり®」とは,製薬会社などによって作成された患者向けの医薬品説明文書である.検証実験の結果,74 件中94%において「くすりのしおり®」の方が読みやすいとする評価値が得られた.また,得られたjFRE の評価値と保険証書を対象としたFRE の難読基準(FRE45 未満)の関係性を分析した結果,「医薬品添付文書」にはjFRE45 未満に該当する文書が含まれていたが,「くすりのしおり®」にはjFRE45 未満に該当する文書が含まれていなかった.以上より,提案指標を用いた可読性分析は有効であり,かつ英語圏の難読基準を援用して文章の読みやすさ保証に使用できることが示唆された.

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© 2017 Biomedical Fuzzy Systems Association
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