ある教員養成系の大学(X 大学)は, 大学および附属学校の教員, 事務職員を対象に, 独自の記名自記式調査票によるVDT 作業特殊健康診断を毎年実施してきた. 著者らは, 2007 年から2011 年までのこの調査票への回答を年次別に集計し, VDT 作業内容と眼および筋骨格系自覚症状の関連を縦断的に解析した. この間, 2007 年にX 大学がNote 型PC からDesktop 型PC への変更を推奨したことから, 同年から2008 年にかけて主に事務員でPC 機種別使用率に大きな変化が起きた. 一方で, 2009 年から2011 年にかけて主に附属学校教員で, 使用するPC をDesktop 型PC からNote 型PC に戻す動きも見られた. そこで2007 年と2008 年, および, 2009 年と20011 年の間に, 使用PC 機種を変更した受診者を抽出し, 主要3 症状(眼疲労, 肩こり, 腰痛)の有訴率の変化を調べた. その結果, 男性事務員で眼疲労にPC 機種変更との関連が有意に確認されたが, それ以外の症状については有意な関連は認められなかった. 今回の解析結果は, PC を持ち歩く必要がないオフィス作業では, Desktop 型PC の使用が眼疲労の低減のために望ましいことを示唆していると考える.
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