2017 年 19 巻 2 号 p. 53-65
モーツアルト作曲「レクイエム」を構成する楽曲である「ラクリモサ(涙の日)」(1/f ゆらぎ楽曲でもある)の印象についてのVisual Analog Scale (VAS)による主観評価測定を実施した.その対象者は22 名の健康人であり,最初に「ラクリモサ」を聴取させ,その後にVAS により「明るい-暗い」「緊張感がある-リラックス感がある」「単純である-複雑である」など7 つの設問についての主観評価測定を実施した.これにより得られた主観評価値については,著者らの提案手法(基本統計量・箱ひげ図による分布の可視化・クラスター分析の組み合わせ)により解析した結果,楽曲の特性(鎮魂曲:「悲しい」「暗い」など)を反映し,対象者の主観についての全体的な傾向の視覚化ができた.さらに,各設問同士の関連性やそれらの意味付けについても,感覚に合致したカテゴリーとして示すことができた.