バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
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看護教育における学生の理解を促す比喩的表現の活用状況
矢野 潔子 柴山 薫秋永 和之高野 佳範髙橋 公一
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2025 年 26 巻 2 号 p. 33-42

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抄録
看護教育において学生の理解を促す“比喩”を用いた説明および教育方法を検討する ための基礎資料を得ることを目的として,看護臨床実習における比喩的表現の活用の実態に 関する調査を実施した.なお,本研究でいう比喩的表現とは,「実習指導場面において実習 生の理解を促すために,分かりやすい言葉に置き換えたり,イメージできるように分かりや すく例えを用いたりして説明すること」と定義する.実習指導経験のある看護師を調査対象 として,自記式質問紙調査およびグループ・インタビュー調査を実施した.分析の結果,「日用品に例えた説明」「日常動作に例えた説明」「日用品を用いた実演による説明」「強い印象を与える表現を用いた説明」「一般用語に言い換えた説明」「学生のこれまでの経験に置き換えた説明」「非言語的(絵,ジェスチャーを含む)な表現を用いた説明」「原理から説明」「当事者になり考えるように促す」「身近な人に置き換えて考えるように促す」の10 要約的カテゴリーに分類できた.なお,内容分析後のカテゴリー一致率は48.1%である.本調査から実習指導場面において,比喩的表現が用いられていることが明らかになった.具体的には,学生に説明する際に「一般用語に言い換えた説明」や「日用品に例えた説明」,「日常動作に例えた説明」といった言い換えや例えの使用割合が高く,また患者の置かれた立場や心理状態といった患者理解を深めるために,患者自身や家族の立場になり考えることを促していることが明らかになった.さらに,教える内容により,比喩や置き換えを活用する場合と学生の知識や経験に関連づける場合とに分けれ,教える内容と説明の仕方には共通性があることが示唆された.
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