日本醸造協会誌
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解説
つぼ造り黒酢~微生物学的見地から~
石井 正治春田 伸五十嵐 泰夫
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2009 年 104 巻 9 号 p. 652-657

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抄録

鹿児島市から東へ約40kmの所に,酢の町―霧島市福山町がある。福山は桜島を望む風光明媚の地で,一年中温暖な気候に恵まれ,背後の山あいから湧き出る天然の地下水は非常に良質で,醸造に必須の条件を備えている。福山米酢の起こりは約180年前に遡り,54lの壼に,蒸米,米麹,水を加えた後,液上面に振り麹と称して老ねた麹を撒く。この振り麹が上面にある間に,糖化とアルコール発酵が行われる。アルコール発酵が終了すると,振り麹は自然に落下して,次に液表面に酢酸菌膜が張り,酢酸発酵が行われる。伝統的な製法をそのまま引き継いで,今日に至っている。本稿では壼造り黒酢について,微生物学見地から解説をして頂いた。

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© 2009 公益財団法人 日本醸造協会
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