1. 主な吟醸酒用酵母の増殖特性を調べた結果,大きく2つのグループに分けることができ,同じ初発菌数でも最大酵母密度や最大生菌数が異なることが分かった。
2. 高カプロン酸エチル生産性酵母とそれ以外の酵母の混合発酵を想定して,27種類のカラープレートで主な酵母の識別を検討した結果,フロキシンB含有Y.P.Dプレートで,K-9,K-901,AK-1グループと,こまち酵母,秋田純米酵母,華こまち酵母グループの2グループに識別することができた。
3. 酵母比率を変えた酒母育成試験,酒母比率を変えた醪製造試験を検討した結果,カラープレートを用いることにより,酵母混合発酵中の両酵母の挙動が明らかになった。
4. 製成酒の成分は,酵母の種類と混合割合を変えることにより両酵母の有している能力範囲内で調整可能であり,醪管理上のメリットも確認された。
5. 本識別法は,簡易性・再現性に優れており,熟練者以外でも識別の有効性が確認された。
抄録全体を表示