日本醸造協会誌
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研究
セサムフラワ添加味噌の品質特性と発酵熟成過程における抗酸化性の変化
高崎 禎子鴻田 育美石川 森夫貝沼(岡本) 章子小泉 幸道福田 靖子
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2010 年 105 巻 11 号 p. 749-758

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抄録

本研究では,未利用資源であるセサムフラワと大豆を発酵させることにより,抗酸化機能の相乗効果やアミノ酸の補足効果によるアミノ酸価の向上を期待して,日常的に利用できる味噌様発酵食品の開発をめざすとともに,抗酸化性と中心とした健康増進機能の発現について検討することを目的とした。今回は,米麹の20%をセサムフラワに置き換えたセサムフラワ味噌および米麹の20%をAsp. nigerを用いて調製したセサムフラワ麹に置き換えたセサムフラワ麹味噌の開発を行い,対照として米麹味噌を調製した。
(1)一般分析の結果,水分はセサムフラワ味噌および米麹味噌で同程度であった。窒素成分は,セサムフラワ麹味噌>米麹味噌>セサムフラワ味噌の順であった。セサムフラワ麹味噌のたんぱく溶解率は高い値を示し,遊離アミノ酸含量も高く,特に味噌の主要アミノ酸であるグルタミン酸,アスパラギン酸は他の試料に比べ約2倍の値を示した。セサムフラワ麹味噌は,他の試料に比べ,pHが低く,酸度Ⅰ,Ⅱは1.7–1.8倍の値を示し,コハク酸は他の1/2であったが,フマル酸においては米麹味噌の8倍であった。
(2)熟成後のポリフェノール量は,セサムフラワ麹味噌において米麹味噌の約1.6倍の値を示した。DPPHラジカル捕捉活性,SOD様活性は,セサムフラワ麹味噌において高い値を示した。また,ポリフェノール量とラジカル捕捉活性の間には高い正の相関が認められた。
以上の結果より,セサムフラワ味噌およびセサムフラワ麹味噌は,官能的にも従来の米麹味噌と比べ遜色なく,さらに熟成後に,抗酸化効果も高くなることが示され,味噌製造時にセサムフラワを活用することで未利用資源の有効利用につながるとともに,健康増進効果が期待されると思われる。

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© 2010 公益財団法人 日本醸造協会
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