2010 年 105 巻 2 号 p. 63-68
酵母が発酵によって生産するエタノールは,一方で酵母細胞自身にとって増殖や生理活性を阻害する毒物でもある。したがって,酵母はエタノールストレスに対する耐性メカニズムを備えていると考えられるが,その研究は主にmRNAの転写レベルで行われてきた。本論文の著者らは,エタノールストレス適応においてmRNA転写後の翻訳に至る過程で様々な調節が行われていることを明らかにした。また,清酒醸造においては酵母細胞内のmRNAの動態が他のエタノール発酵系と異なることを示した。