日本醸造協会誌
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研究
水浸裂傷の発生要因の検討
佐藤 稔英中山 繁喜米倉 裕一平野 高広山口 佑子遠山 良
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2011 年 106 巻 2 号 p. 103-111

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抄録

Ⅰ.水浸裂傷は米の部位による吸水速度差が異なるために発生する膨張差が応力となり発生することを明らかにした。これは白米が腹側に吸水しやすいためと推察される。
Ⅱ.品温,水温を変化させて白米水分と水浸裂傷の関係を検討した結果,いずれの温度帯でも白米水分11~13%の範囲で水浸裂傷率は最大となり,白米水分が10%以下,もしくは14%以上で水浸裂傷の発生が抑えられることが判明した。また,品温に関わらず水温が高い場合,水浸裂傷が発生しやすいことが判明した。これは,米の持つ物理的強度と吸水速度および吸水に伴う腹側・背側の膨張差に起因するものと考えられた。
Ⅲ.県内酒造メーカーの枯らし場調査では,大吟醸用白米の場合,温度・湿度ともに30~40日で枯らし場環境と平衡化した。しかし,調査した5社のうち3社では白米水分11~13%の範囲であり,枯らしの効果は各社様々であるため,各社毎での対応が必要であると考えられた。

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