日本醸造協会誌
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解説
無塩醤油様調味料とその高血圧予防作用
松井 利郎大森 健米谷 俊植木 達朗野田 義治
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2011 年 106 巻 9 号 p. 587-596

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抄録

 著者らは醤油麹を食塩水の代わりに,20%アルコールで仕込むことにより,無塩醤油様調味料(HFS)を開発し,無塩醸造アミノ酸としてアミノ酸サプリメントの素材として一部販売している。高血圧自然発症ラット(SHR)を用いたHFSの長期投与試験により,血圧上昇抑制作用を認めたが,いずれの臓器においてもHFS摂取による組織ACE活性の減少は認められないので,HFSによる血圧低下作用はRAS(レニン-アンギオテンシン,ACE)の直接的な阻害によるものでないことを示した。さらに,低分子ペプチドTrp-Hisは細胞外Ca2+チャンネル部位に結合するCCB(カルシウムチャンネルブロッカー)様弛緩性ペプチドで,血管機能を改善し,抗動脈硬化作用などを発現することから,腸管吸収可能な低分子ペプチドを含むHFSは機能性調味料として大いに期待できるので,解説いただいた。

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© 2011 公益財団法人 日本醸造協会
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