日本醸造協会誌
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研究
清酒の老香成分に及ぼすバナジウムの影響
磯谷 敦子神田 涼子岩田 博須藤 茂俊
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2012 年 107 巻 6 号 p. 443-450

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抄録

老香の主要成分DMTSの生成に対する製成・ろ過資材の抑制効果を調べたところ,活性炭には効果がみられなかったが,2種類のセライトに顕著な抑制効果がみられた。セライト中の有効成分を探索した結果,バナジウムであることが明らかとなった。清酒にバナジウムを添加して貯蔵すると,DMTSおよびDMDSの生成は抑制されたが,アルデヒド類が増加した。官能評価の結果,バナジウムの添加により硫黄様のにおいは抑制されたが,カラメル様・甘いにおいの強度が増加した。老香成分すべてを抑制する目的でバナジウムを使用するのは難しいが,長期熟成酒製造の観点からは有効利用できる可能性があると思われた。

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© 2012 公益財団法人 日本醸造協会
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