日本醸造協会誌
Online ISSN : 2186-4012
Print ISSN : 0914-7314
ISSN-L : 0914-7314
解説
酵素法による清酒の遊離脂肪酸の定量
-カプロン酸エチル濃度の簡易推定法への利用-
栗林 喬金桶 光起渡邊 健一
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 107 巻 9 号 p. 624-631

詳細
抄録

セルレニン耐性を指標としたカプロン酸エチル高生産酵母の育種方法は,日本醸造協会をはじめ,各県公設研究機関,酒造メーカーなどで幅広く利用されている。しかし本法による酵母を用いた吟醸酒は,カプロン酸によるオフフレーバーが問題となる場合もある。著者らは,カプロン酸エチル高生産酵母を用いた吟醸酒において総脂肪酸の大部分をカプロン酸が占めるという知見に基づき,酵素法によるカプロン酸の定量法を設定するとともに,本法がカプロン酸エチル濃度の推定にも有効であることを示した。製造現場でも利用できる簡易な方法なので,吟醸酒の品質管理の参考にしていただきたい。

著者関連情報
© 2012 公益財団法人 日本醸造協会
前の記事 次の記事
feedback
Top