日本醸造協会誌
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解説
遠心分離方式による新しい上槽システムの開発と普及
田口 隆信
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2014 年 109 巻 8 号 p. 550-556

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抄録

 上槽工程は省力化装置がなかなか普及せず依然として労力を必要とするとともに,最終の酒造工程として製品の品質に悪影響を及ぼさないように注意が必要な工程でもある。ここで紹介される上槽方法は,従来の方法と発想が異なり品質面を重視し完全に搾りきることを目指さない高級酒に特化した方法である。この方法によれば,同じように搾りきらない上槽方法である「袋吊り法」と同等の品質の上槽酒をより少ない労力で得ることができる。さらに,洗浄が容易なステンレス製の機器を使用するため,気を付けて洗浄などの管理を行えば特別なノウハウがなくても汚染により酒質を劣化させることはない。現状では「袋吊り法」より機器の導入費用は嵩むとはいえ既に10台以上の装置が稼働中とのことであり注目に値する上槽方法といえる。

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© 2014 公益財団法人 日本醸造協会
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