日本醸造協会誌
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研究
黒糖焼酎の貯蔵における動粘度の変化
佐無田 隆谷山 健弘岡村 壮一郎廣 あおい
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2015 年 110 巻 1 号 p. 37-47

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抄録

1.黒糖焼酎(タンク5年以下貯蔵,常圧及び減圧蒸留)及び泡盛(カメ10年及びタンク15年貯蔵)の動粘度を測定した結果,貯蔵年数が長いほど動粘度が大きい傾向が認められ,また,貯蔵年数が長いほどTBA価が高い傾向が認められた。
2.製造後約5~30年間経過した黒糖焼酎及び泡盛を蒸留処理(試料を蒸留して約70%留出させ,留出液と蒸留残液を混合する)しても動粘度に変化は認められず,蒸留処理による貯蔵効果の測定はできなかった。
3.エタノール(試薬特級,99.5%)に蒸留水を加え5.4年間保存されたエタノール水溶液(25.05%v/v)の動粘度は,同等の試薬エタノールを蒸留水により希釈した直後の溶液(25.05%v/v)の動粘度と差が認められなかった。
4.以上のことから黒糖焼酎の貯蔵による動粘度の増加にはエタノール-水クラスターの変化は影響しておらず,化学反応による組成変化が影響していると推察された。

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