日本醸造協会誌
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リン酸カルシウムの醸造分野での活用
近藤 徹弥
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2016 年 111 巻 10 号 p. 648-657

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抄録

 近年,清酒を始めとする醸造食品の製造において,いかにして品質を保つのかが重要な課題となってきた。特に清酒においては,生酒や生貯蔵タイプの酒質が好まれるようになり,その重要性は増すばかりである。タンパク質を除去するために火入れ・滓下げ処理または精密なろ過処理を省略できれば,コスト的にもメリットがある。本稿では,複合的なメカニズムによって独特の吸着性を示すリン酸カルシウムを用いて醸造産物の品質に大きく影響を及ぼす金属イオン,タンパク質,細菌の除去への可能性について解説頂いた。醸造業界に身を置く者として一日も早い研究開発の成果を待ち望む次第であり,ご一読をお勧めします。

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© 2016 公益財団法人 日本醸造協会
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