日本醸造協会誌
Online ISSN : 2186-4012
Print ISSN : 0914-7314
ISSN-L : 0914-7314
異なる黒麴菌を用いた本格焼酎の酒質の多様化
白石 洋平原口 愛美村田 梨恵久 遼馬奥津 果優吉﨑 由美子二神 泰基玉置 尚徳和久 豊髙峯 和則
著者情報
キーワード: 芋焼酎, 菌株選抜
ジャーナル フリー

2018 年 113 巻 12 号 p. 757-765

詳細
抄録
麴菌の生産するプロテアーゼを指標に酵素活性の高い黒麴菌の選抜および製麴,芋焼酎の小仕込みを行い酒質への影響について検討した。
候補菌株からA. luchuensis KBN4038,KBN4041およびKBN4080の3株を選抜した。この3株を用いて製麴を行ったところ,AP活性が市販黒麴と比べて1.3~1.7倍高かった。出麴酸度は3.3~4.6と対照の6.8と比べ低かった。芋焼酎の小仕込み試験の結果,AP活性に相応して醪中のアミノ酸総量が1.25倍に増加した。しかし,アミノ酸増加に伴う高級アルコール類とアルデヒド類生成量は対照と比べて顕著な差は認められなかったが,1-オクテン-3-オールが顕著に増加し,甘香や麴香,果実香などが強く,濃厚な焼酎となることがわかった。
本研究の結果から,選抜株はいずれも酒質を大きく変えることができたことから,有用麴菌選抜の指標としてプロテアーゼ活性に着目することが有効であることが示唆された。
著者関連情報
© 2018 公益財団法人 日本醸造協会
前の記事 次の記事
feedback
Top