日本釀造協會雜誌
Online ISSN : 2186-4004
Print ISSN : 0369-416X
ISSN-L : 0369-416X
清酒の糖組成に関する研究 (第3報)
貯蔵中の糖組成の推移とその要因の検討
佐々木 定増田 義実服部 圭助伊藤 芳直
著者情報
ジャーナル フリー

1967 年 62 巻 11 号 p. 1244-1246

詳細
抄録

普通アル添酒, 無水結晶ぶどう糖による増醸酒および粉末水あめによる増醸酒 (以下各々を普通酒, 無水増醸, 粉あめ増醸と略記) のアル添前と上槽, 火入れ, 呑切り, 秋口時の糖組成を検討し, また火入れ温度と酸量の異なる試料の貯蔵中の直糖の推移を測定し, 次の結果を得た。
1) 前記3種類の清酒の貯蔵中の糖組成の変化は極めて異り, 普通酒では上槽→火入れ→呑切りと漸次glucoseは増加するが, 無水増醸は上槽→ 火入れの期間にglucoseの減少があり, 一方その期間にisomaltose, panose, isomaltotriose等のoligo糖が増加している。また粉あめ増醸ではglucoseは増加するが, maltoseの減少が著しい。
すなわち増醸酒では, 従来からいわれている添加糖類の加水分解の他に糖転移または逆合成がかなり行なわれている。
2) 貯蔵中の直糖は, 生酒よりも40℃火入れ酒のほうが, また酸量の少ないほうが増加する傾向にある。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本醸造協会
前の記事 次の記事
feedback
Top