ある家業的味噌屋の場合

マスコミ点火によるわがみそブーム体験から

抄録

“一寸先きは闇” なのは, なにも政治の世界に限ったことではない, 自由経済に生きる経営者もまた同じような状況のもとにおかれている。ただ, この頃では闇が濃くなっているので, それを特微付けるために “不確実性の時代” などと, われわれにはしっくりしない直訳が流行話化しつつある。このような時に, 筆者は突如として, みそプームに襲われることになった。その火付け役はマスコミである。ブームのあとは火が消えたようになって, 廃屋が残骸をさらすというのが定石なのであるが, さすがに筆者の二年みそは年季が入っていて腰が強い。また, ブームに浮かれないで冷静に問題を指摘するなど心憎いほどの健実経営ぶりである。不透明な時代のさわやかな出来事として一読されんことを。