抄録
前報に引き続き官能検査パネルを選択し, 訓練する方法を開発し標準化することを目的として, 刺激液の閾値, 判断の妥当性を検討した。
(1) 4味物質の平均刺激閾値は, グルコース: 4.69×10-2M, リンゴ酸: 1.9×10-4M, 食塩: 1.26×10-2M, 硫酸キニーネ: 7.2×10-6Mであった。
(2) 4味に対する感覚の鋭敏さに個人差があり, 硫酸キニーネに鋭敏な人は, リンゴ酸及び食塩についても鋭敏である傾向が認められた。
(3) 4味に対する判断の妥当性については, カフェイン0.01%水溶液を味が無いと判断し, 蒸留水と区別できない被検者が多かった。
(4) 4味の刺激液の濃さの順位を順位法により行った結果, 殆んどの被検者は正解であった。
(5) 4味全てに閾値が平均値より低く, 4味の刺激液の味全てに正解であり, かつ4味の刺激液の濃さの順位全てに正解であった被検者は28名中2名であった。