日本醸造協会誌
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乳酸菌で再醗酵させたアルコール醗酵副産物の本態性高血圧自然発症ラットにおける血圧上昇抑制作用
井上 美保石原 伸治渡辺 敏郎永井 史郎辻 啓介
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2005 年 100 巻 8 号 p. 581-587

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抄録

焼酎粕と酒粕の混合物を乳酸菌で再醗酵させた素材が本態性高血圧自然発症ラツト (SHR) への血圧上昇抑制に対してどのような影響を及ぼすかを検討し, 次の結果を得た。
(1) 焼酎粕と酒粕を質量比で2: 1の割合で混合し, 乳酸菌で再醗酵させた素材 (醗酵素材) が最もGABA含有量が多く, 更にアンジオテンシンーI変換酵素 (ACE) に対する高い阻害成分を含むことが確認された。
(2) 醗酵素材摂取群は対照群に比べてSHRの血圧を有意に降下させた。これはGABAの血圧降下作用と醗酵素材に含まれるACE阻害成分が互いに働いて効果を示したものと考えられた。
(3) 醗酵素材を摂取することでSHRの体重, 摂食量, 脂肪重量, 血中脂質レベル, 肝臓脂質レベルに大きな変化はなかった。すなわち醗酵素材は生体に対して何ら悪影響を及ぼさないことを示唆している。
(4) 盲腸内容物の短鎖脂肪酸と有機酸では, 醗酵素材を摂取することでリンゴ酸や乳酸の増加, 酢酸, イソ酪酸, 酪酸の減少が確認された。

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