日本醸造協会誌
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清酒醸造における蒸米の硬度と消化性 (第1報)
安澤 義彦勝又 和明片岡 惇
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2006 年 101 巻 11 号 p. 886-892

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抄録

(1) テンシプレッサーを用いることで蒸米の硬度測定が可能であり, 25%圧縮の硬度測定から, 蒸米表面の硬さとさらし時間による硬化度の変化を, 90%圧縮の硬度測定から, 蒸米固有の硬さを測定できることを明らかにした。
(2) 低圧縮及び高圧縮硬度の比を硬軟度と定義した。五百万石は表面硬化の速度が速く, 他の供試品種とは異なる挙動を示すことが確認された。また, 千秋楽の硬軟度は酒造好適米である越淡麗やたかね錦と近似の経過をし, さらし時問の経過に関係なくほぼ一定に推移したことから, 硬化しにくく溶けやすい品種であると考えられた。
(3) プロラミンはさらし1時間の初期段階の蒸米固有の硬度と関係が深いことが確認され, 放冷機によって短時間に仕込む最近の酒造りにおいて興味深い結果であると考えられた。一方, 3, 6時間のさらしでは有意な結果が得られなかったことから, みかけの老化に影響を与える因子はプロラミンではなかった。

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