日本醸造協会誌
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清酒の官能評価に及ぼす共存する味の影響について
川瀬 直樹小山 淳松丸 克己野本 秀正井本 吉彦上田 護国高橋 利郎桑原 健治伊藤 康
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キーワード: 官能評価, きき酒, 基準溶液
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1994 年 89 巻 1 号 p. 77-79

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抄録

清酒の味に及ぼす料理の影響について6種類の味の基準溶液を使って検討した。
1.「総合酒質」に及ぼす影響については,「甘味」「渋味」「苦味」「旨味」の共存は供試清酒の評価を下げた。一方「辛味」「酸味」が共存しても評価は大差がなかった。
2.「甘味」の評価については,「甘味」が共存するとより「辛い」と評価され,それ以外の時はより「甘い」と評価された。
3.「濃淡」の評価については,「甘味」が共存しても評価に大差はなく,それ以外の味が共存することにより「濃厚」と評価された。
4.「滑らかさ」の評価については,「甘味」「渋味」「旨味」の共存下ではより「ざらつく」と評価され,それ以外の時は評価に大差がなかった。
5.「きれいさ」の評価については,「辛味」「酸味」が共存しても評価に大差はなく,それ以外の時はより「汚い」と評価された。
6.各種の味の複合体である料理に代わって単純化した基準溶液を使うことによっても清酒の官能評価に影響が現れることがわかり,酒と料理の相性を調べる手段として利用できることを確認した。
終わりに官能評価にご協力いただきました伏見醸友会および灘酒研究会各位に深謝いたします。

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