日本醸造協会誌
Online ISSN : 2186-4012
Print ISSN : 0914-7314
ISSN-L : 0914-7314
清酒生翫仕込み過程におけるキラー酵母の変動およびキラー菌株の性質
河東田 茂義中田 和美後藤 英之
著者情報
キーワード: キラー酵母, 清酒生翫
ジャーナル フリー

1998 年 93 巻 11 号 p. 905-909

詳細
抄録

キラー感受性タイプが異なる3菌株を用いて, 生翫仕込み過程におけるキラー酵母の検索を行った。これらのキラー感受性菌株に対してキラー活性を示す酵母が生醗仕込み初期には高い割合(約50%)で検出されたが, きょうかい酵母添加時期の後期には検出されなかった。純粋分離したキラー酵母は全て産膜性を有し, キラー活性が強く且つ広範囲の酵母に活性を示す菌株の多くが硝酸を資化し, Pichia anomalaと同定した。さらに, これらの菌株およびきょうかい7号酵母との交叉反応試験を行った結果, きょうかい7号酵母にはキラー活性を示さず, キラー酵母が相互に死滅しあうこともなかった。生醗由来の産膜性酵母のキラー活性は, 食塩添加により用いた感受性酵母全てに対して増加していた。特に, Zygosaccharomyces rouxii IFO 0505に強い活性を示した。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本醸造協会
前の記事 次の記事
feedback
Top