日本醸造協会誌
Online ISSN : 2186-4012
Print ISSN : 0914-7314
ISSN-L : 0914-7314
青ヶ島の芋焼酎製造用粉状麹の諸性質粉状麹に関する研究 (第3報)
岡田 俊樹前田 安彦金内 誠角田 潔和鈴木 昌治小泉 武夫
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 94 巻 10 号 p. 849-852

詳細
抄録

青ヶ島の芋焼酎製造に用いられる粉状麹の諸性質を調べた。
(1) 粉状麹の製麹過程中の水分含量の変化は, 引込み時に45.0%であったものが, 7日目の出麹時は, 32.0%まで減少した。これは, 一般的な散麹の値より10%程度高かった。
(2) 粉状麹の製麹中の酸度は, 出麹まで増加し続け, 4.0meに達した。これは, 一般的な焼酎用麹の酸度よりわずかに低いものであった。
(3) 粉状麹の出麹時の各種酵素力価は, AAは1, 100U/g・麹, GAは260U/g・麹であり, 白麹菌を用いて製麹した焼酎用麦麹と比べて, AAで約12倍, GAで約1.4倍高かった。APは11,900U/g・麹で, 焼酎用麦麹と同等であり, ACPは9, 800U/g・麹で, 約3倍高い値を示した。また, 耐酸性α-アミラーゼは530U/g・麹だった。
(4) 粉状麹の製麹過程中の細菌酸度は, 製麹開始後, 4日目に3.1meに達したが, その後減少し, 出麹時は2.4meだった。これは, 一般的な散麹の値より高い値だった。
以上の結果より, 青ヶ島の芋焼酎製造に用いられている粉状麹は, 酸度が高いことや各種の酵素力価より, 焼酎用麹として十分な品質を有していることが明らかとなった。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本醸造協会
前の記事
feedback
Top