2000 年 95 巻 10 号 p. 771-775
今回, 生カンショ (紫色系カンショ;アヤムラサキ) を原料として発酵酒を作成し, その発酵酒の可能性について検討するとともに, 蒸煮発酵酒の品質との比較も行った。その結果以下のことが確認された。
(1) 生発酵酒の高級アルコール類濃度は蒸煮発酵酒および市販のワインに比べて多く含まれていた。
(2) 蒸煮発酵酒は生発酵酒に比べて濃い赤色を呈しており, それはアントシアニン色素量の差に原因した。しかしながら, 両発酵酒にはアヤムラサキに含まれているシアニジン系色素とペオニジン系色素がともに含まれていた。
(3) 生発酵酒は蒸煮発酵酒に比べて液量が多く得られ, 酒粕が比較的少ないことより, 省エネルギーおよび環境問題の点から有効ではないかと思われる